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 お掛け絵の種類

お掛け絵の種類


■お掛け絵は、一部に明治以降に加わったと思われるものもあるが、大部分はキリシタン
信仰当時「ごえい」と呼ばれた聖画に由来すると思われる。しかし今日のかくれキリシタン
信仰の中では、漠然と御前様(神様)のお姿とされたり、地元の殉教者の姿と認識され
ている。お掛け絵の多くは「お洗濯」と呼ばれる描きかえを重ねつつ、今日まで受け継が
れてきたものであるが、お洗濯に際し「隠居」と呼ばれる以前のお掛け絵の構図を変えた
り略したりする事もあったようで、衣服や髪型が日本風に変わったり、十字が消されたり 
されたと思われる例もある。
 お掛け絵の中には、単体で祀るものと、二~三幅の組で祀られているものがある。組で
祀られるものは、いくつかの組のものが合祀された可能性も有るが、当初から宗教上の意
図 にもとづいて一緒に祀ったと想像されるものもある。
 生月島・平戸島で確認されているお掛け絵には次のような種類がある。

聖母子関係
○(単純型)聖母子像:最も多く見られる構図で、三日月の上に聖母が幼子左抱きにし
て立つ(歩く)姿を基本とする。三日月がなく三日月代わりに日月になっている、幼子が右抱
きである等のバリエーションもある。

○聖母と二聖人:上半部に雲上の三日月に座す聖母子を、下半部に仰ぎ見るロヲラとザ
ビエルを配した構図で、大阪・茨木市で確認されたキリシタン時代の聖画「マリア十五玄
義図」などに、共通の構図を見いだせる。比較的多い。
○ロザリオの聖母子:聖母子立像の周りをロザリオ(数珠)が囲む構図である。
○受胎告知:左側に背中に翼を生やした天使が跪き、右側に聖母子が座る。本来の受胎告
知図には幼子は居ない筈であり、禁教時代の変容と思われる。
○エジプト逃避途上の聖母子:座った聖母子の前に草鞋と杖が置かれる構図は、パティニ
ールの描いた「エジプト逃避途上の聖母子」(1520頃)と共通する。
○聖母と眠る幼子:布ににくるまれ眠る幼子を、合掌した聖母が見下ろす。

キリスト
○救世主キリスト: キリストが地球を表す球体に左手を置き、右手を胸元に立てる構図で、
単純型聖母子像と対で祀られている。
○荊冠のキリスト:キリストが荊冠を被せられ、縄打たれ、手には葦の棒を持つ。
○キリスト像:雲上で合掌するキリスト像。単純型聖母子像と対で祀られている。
○十字架のキリスト:馬上の騎士の槍で突かれる十字架上のキリスト。
 
聖家族

○聖家族:夫婦と男の子の三人家族が座ったり食事をしたりしている構図。殉教者ダンジ
ク様として信仰されている。
○聖家族:椅子に座る聖母子とその母アンナからなり、大村天主堂蔵の銅版画「聖家族
と聖アンナ」と共通する構図である。 

聖人

○洗礼者ヨハネ:椿柄の着物に太い帯を結び、短い杖(水の落ちる表現)を持って歩く。
地元では首をはねられた殉教者だという伝承が残り、洗礼者ヨハネの最期と一致する。

○聖セバスチャン:弓矢を持つ武人像であり、殉教者像は自らの殉教に関係するものを持つ
というセオリーからすると、聖セバスチャンの像という事になる。しかし地元ではパブロ
ー様として信仰されており、さらに武人の服装は宣教師との接触が断たれた18世紀以降
のものである点が謎である。
○聖ヨアキム・聖アンナ:翁媼の姿で一対で祀られ、聖母子図と組をなしている。
○聖ヨセフ:仏僧が歩くような姿だが、エジプト逃避途上の聖母子と対をなしており、聖
ヨセフの像とした。

ファイル 35-1.jpg ファイル 35-2.jpg ファイル 35-3.jpg
     受胎告知          (単純型)聖母子         洗礼者ヨハネ