島の館トップページアクセス・駐車場


記事一覧

 風止めの願立て・願成就(お水取り)

風止めの願立て・願成就(お水取り)


ファイル 42-1.jpg
 殉教聖地・中江ノ島は、行事に用いる聖水・お水を採取する場所としても重要な場所で
ある。山田集落では、毎年、初夏と晩秋に行う「風止めの願立て」「風止め願成就」行事
の際に中江ノ島に渡ってお水取りを行う。しかし壱部、堺目集落では、手持ちのお水が少
なくなった時に臨時に中江ノ島渡りをするか、新船祝いで中江ノ島に詣る時にお水取りを
行うという。元触集落では、もともとお水は中江ノ島で取らず上場のカワ(湧水)等で取
っていた。
 山田集落の風止めの願立ての行事は田植え頃に、風止め願成就の行事は秋の収穫後に行
われる。前者は稲に害をなす大風を避ける祈願のため、後者は風の害を避けられた事を感
謝する願成就のための行事であり、御爺役、親父役が集って行う三触寄りの行事である。
 朝、農協支所の会議室に集合し、舘浦港から大敷網の船に乗って中江ノ島に渡る。
行きがけの船の中で半座のオラショを唱え、島の前で櫓漕ぎの伝馬船に乗り換えて上陸す
る。祭場である断崖の裂け目の前に着くと、蝋燭を立てて供物を供え、水がしみ出しそう
な岩の裂け目に茅の茎を刺し、反対の端を一升瓶の口に入れてお水を受ける。準備がすむ
と一同は石浜の上に正座し、一座のオラショを唱える。唱え終わるとオゴク(御飯)
やスルメをいただき、瓶にたまったお水を回収して戻る。舘浦に上陸すると二手に分かれ、旋
網会社の事務所や社長宅に取った宿で一座のオラショを唱える。唱え終わると殉教地
の千人塚と、比売神社下の恵比須様に供物を上げ、宿に戻って昼食をいただく。午後には
御爺役、親父役らの中から決めた宿に移る。座敷の中央に蝋燭を立て、そのまわりに車座
に座って一座のオラショを唱える。その後の宴席では、唄オラショ「サンジュワン様の唄」
「ダンジク様の唄」やヨイヤサが唄われる。 
壱部集落のお水取りも基本的に同じだが、船の中で唱えるオラショはエレンジャ祓い
(異教徒が一緒なのを許して貰う)だという。また持ち帰った水は、人間のお授け(洗
礼)と同様の行事を行って魂を込めなければならないという。