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 生月学講座 No.126「磯枯れとイスズミ」

昨年秋、舘浦漁協の方のお誘いで、磯焼けの原因生物の講習会に行きました。島の館でも、自然の会と協力して、子供達を対象とした「ふるさと探検隊」の活動の中で、季節毎の磯の生き物観察などをやっている事から、海の環境変化についても知っておく必要があると思ったからです。

 講習会でのお話によると、磯枯れ(海藻の消滅)は全国的に深刻な問題で、昭和53年(1978)から平成25年(2013)の35年間で、10万㌶の藻場が消滅しているそうで、埋め立てなどの影響もありますが、主な原因は生物による食害だそうです。食害を起こす生物は、北ではウニ、南ではウニと魚が主で、たとえば西海地方では、ガンガゼ(方言テツキ)と、アイゴ(バリ)、イスズミ(オックレ)、ブダイなどの植物性魚類です。紹介された海中の映像でも、バリやイスズミの群れが凄まじい勢いで海藻を食べていました。これらの魚類は、近年の地球温暖化によって越年生息できる環境になった影響も言われていますが、有用水産種ではなく捕獲もされない事も、増加に拍車を掛けています。バリなどは、以前、佐賀県の東松浦半島や福岡市の志賀島などで、夏バリを取るための定置網が行われた話を伺ったことがあり、和歌山県などでは一夜干しなどでよく食べられているようですが、生月島ではバリもイスズミも、釣り上げても見向きもされない魚です。 藻場の保護のためにはおもに藻場をフェンスなどで守る方法と、捕獲などで捕食生物を減らす方法がありますが、捕獲の取り組みの中で、水産総合研究センターの桑原久実さんのイスズミを対象とした取り組みが、興味を引きました。イスズミは、生月島での方言名を「オックレ」といい、島の館の前にある遊泳場でも、夏場、テトラポットの回りで底の方を10匹程度の群れで泳いでいるのをよく見かけます。名が示す通り「クレイオ」(クロ・メジナ)に似た姿形ですが、味は落ちるそうです。有用水産種でない事から、生態などはよく分かっていませんが、桑原さんの調査では、夏場は10〜20匹の小さな群れで過ごしていますが、冬場には500〜1000匹もの大群で、テトラポットの防波堤のような隠れ場所が沢山ある場所で過ごしていて、概ね水温15度になる4月頃に、群れの規模が変化する事が分かってきました。

 桑原先生は、壱岐の漁師さんと協力して刺網による捕獲を試みています。2月に、南端の初瀬漁港のテトラ突堤の回りを囲むように高さ10㍍、網目4寸の刺網を仕掛けたところ、19時間後の揚網で350匹ものイスズミ(体長40㌢程度)が捕獲されました。また同じ場所で繰り返し網を入れた場合にも、初回の半分程度になりますが、捕獲が可能である事が分かりました。捕獲数が多かったのは網の5㍍以下の場所だったので、イスズミの群れはおもにその深さにいる事も分かりましたが、多くのイスズミはテトラポットの穴の中にいるため、網をかなり突堤近くに張らなければ捕獲数は見込めず、また網がかりをしないように注意する必要もあるようです。たとえば網を張ってから、テトラの上で爆竹を鳴らすなどして、穴の中のイスズミを驚かす方法はないかなと、思ったりしました。また取れたイスズミを切り身にして味噌漬けし、都会のスーパーで販売する事も行われましたが、売れ行きは好調だったようです。2014.1